★EUとNATOの加盟国中の、圧倒的なWild cardはハンガリーであろう。・・・トルコもWild cardだが、いわゆる西欧“白人”国家ではないし、EUには参加できてないので、「EU及びNATO」の中の問題児は、やはりハンガリーだろう。
・・・そのハンガリーが、今年後半、EUの議長国を務めたり、最近、特にウクライナ支援等しない、と言ったオルバン首相の過激発言が報道されている今日この頃だ。
◆ そのハンガリーで、1998年から2002年まで首相を務め、2010年5月から再び首相を務めているのがオルバン・ヴィクトル。いよいよ“東欧のトランプ”としての強権政治を強めつつある人だ。・・・露骨に、米大統領候補としてのトランプを支持し、「トランプが大統領になれば立ちどころにウクライナの戦争は終わる」と公言するヤバい人物だ。
◆いよいよEU/NATO内での攪乱分子ぶりを強め、中国習政権ともロシアプーチン政権とも融和的な振る舞いをするハンガリー・オルバン政権には、懸念を禁じ得ない。
・・・そこで、私は、普通の日本人同様、ハンガリーに取り立てて特別な知見を持ち合わせているものではないが、私の表面的なコメントを書いておく。
【1】ハンガリー人は「欧州人」なのか?
・ハンガリー人=マジャール民族=「ヨーロッパとアジアを隔てるウラル山脈周辺にいた人々の子孫」とかいうことで、少しアジア系?という人もいようが、ハンガリーの人の写真を見ても、以下添付の美人さんの写真のように欧州白人にしか見えない。見たところの話しだが。

・また、かつてソ連支配下の社会主義国にされていたので、「元ソ連系の東欧の一国」というイメージもあろうが、人種的に東欧に多いスラブ系(ロシアに近い)でもなく、また、かつてヨーロッパを席巻したオーストリア=ハンガリー帝国の末裔であり、東欧よりもドイツやオーストリアに親近感もある「西欧的な国」でもあろう。
・そこで、ソ連崩壊後、1999年にNATOへの帰属を果たしているし、2004年にEUへの“復帰”を果たしているのだ。
・しかし、かつてのオーストリア=ハンガリー帝国の栄華を引き継ぐはずの現ハンガリーが、西欧の中で、尊重されているとの気分はしないのだろう。むしろ、EU/NATOの「はじっこ」感、屈折意識があるのだろう。
【2】「いいとこどり」
・しかしハンガリーは、EU参加により、EUの東欧支援プログラムの恩恵を大きく受けてきたはずだし、また、EU市場内での経済取引を享受してきたはずだ。
・NATO加盟では、最大の仮想敵国のソ連亡き今でも、最大の仮想敵国はロシアであろう。そして、それに対抗するNATOの集団自衛体制は、ハンガリーにとっても意味あるはずだ。しかし、今、オルバン政権はプーチンに靡いたスタンスをとっている。まさか、ロシアと仲良くすると侵攻されないだろう、とかいうナイーブな期待ではなかろうが、変にEU/NATOの端っこでも面白くない、ということなのだろう。
・そして、オルバンはトランプっぽく、欧州に雪崩混む中東などからの難民を「欧州にイスラム要らない」と拒否し、欧州でLGTB運動が起こるとそれも拒否し、欧州のすることには何でも反対して見せている。ウクライナも、もともとハンガリー系国民を抑圧しているとの観点から、現ウクライナ政権を嫌っている。・・・というのが、今のハンガリーであり、国民もそれに喝采を送っているようだ。
⇒ 結局、オルバン政権は、まさか、EU/NATOからの追放などまではあり得ないとして、一方その加盟国であるメリットは従来とおりフルに受け、それでいて、EU/NATO内で拒否権をちらつかせて「取れるものを最大化」するゲームをしつつ、欧州がハンガリーを顧みないなら、ロシア、中国にもっとなびくぞとの、ゲームを演じているものであろう。要は、全てにおいて「いいこと取り」をしようとしているものだ。ということで、まさにトランプに通じる。
⇒ ハンガリー国民は、まさか、そうしていても、EU/NATO追放などはまではされないだろうが、「恐わもてオルバン」がプーチンなどとも通じ、、米国・ドイツ・フランスなどを手玉に取って、ハンガリーの国益最大化に努めてくれているのを見て、頼もしく支持しているという構図だろう。
【3】ここから、どうなる???
・そういうゲームをプレーするハンガリーは、EU/NATO、日本なども入れた「西側連合」内の攪乱分子であることは間違いない。
・オルバン政権のゲームの度が過ぎて来た場合は、EU/NATO追放の警告を掛けるべきだろうか?
① EU/NATO側としても、それでは一種危険なbluffになるし、ハンガリ―も本当に離脱してしまっては「いいとこどり」にならないから、基本的にお互いに「そこまではしない」という自制は働いていると思われる。
② そして、もし、本当にどちらかがそういう警告を発すると、プーチン・ロシア、習中国が、西側のその亀裂に乗じて来るのは必須だろうゆえ、ホントに追放・離脱bluffするのは、やはりまずかろう。
・・・とすると、結局、オルバン・ハンガリーの我儘・身勝手なゲームプレーは、これからも続き、欧州はそれに振り回されると見るしかなかろう。そして、このような現象は、恐らく、今後、ハンガリーに留まらず、欧州中、世界中で「癌細胞」のように発生してくる、それが人類の最新現状なのであろう。
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