★日経新聞の円安論評記事の筋違いーーー<続>
・・・もう私も書くのが面倒くさくなってきたが、今日の日経の筋違い:
【1】例により、日本は生産性低いから、世界の競争に負けて、輸出減って、円安圧力、だからAIなどで生産性向上し、競争力を!みたいなこと言ってる。
・・・何度も言うとおり、日本の「GDP/人」が伸びず高まらないのを、「物的生産性」の低さ(日本人の労働アウトプットがノロマで低い)ばかりと見るのは愚かと言っている。GDPは「付加価値」計算であって、物品・サービスが効率よくアウトプットされていても、そのpricingが、日本の特に中小企業過当競争・値下げ競争で低くゆがむと、計算上低くしか出ないのだ。日本はそれなのだ。
・・・AI投資とかで、アウトプット効率性が高まっても、産業の構造的再編で、日本の超過当競争・値下げ競争体質が改善しない限り、効率向上は更なる値引きに回るだけなのである。
【2】それより、驚くのは、日経が「90年代以降は一転、製造業の力が落ち、輸出が伸びなくなった。稼いだ外貨を円に替える需要が減ったために円安になりやすくなった。」と書いていることだ。 
・・・・私の作成したチャートをご覧あれ。
・90年代以降、日本の製造業の力が落ちていったのはその通りだが、日本の貿易収支黒字(青い棒)は維持され、円はご覧の通り円高になっていったのだ。緑色の囲い込み部分。
・それが、2013年から安倍・黒田の超金融緩和政策で、意図的に円安に転換させた。一部、輸出型大企業は潤い株価も上昇したが、ご覧の通り、貿易収支はトントンになったが、逆に、海外からの利子配当(赤い棒)の外貨収入が主になってきたのだ。
・・・つまり、もう貿易収支が円ドル為替の変動の原因になる時代ではないのだ。・・・今は、何度も言う通り、金融要因で為替は決まる。・・・円安になってくると、まず輸入代が増えて貿易収支赤字圧力になるが、時間と共に輸出が増える時代であれば、貿易収支が黒に戻りやすかった。しかし、今では、そういう構図も乏しくなったというのが現実なのだ。

というようなことは、多くの経済学者や評論家が前から書いてきていることだが、日経記者だけが、まったく分かってないようだ。  Nat


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