★「士農工商 ウソ」問題


・・・2022年度の日本の教科書から「江戸時代の士農工商との身分差別」記述が消えたのは事実である。
・・・しかし、それを曲解して、「実は江戸時代から日本には身分差別がなかった!」と歴史を美化する意見がネットでも多いのには遺憾に思う。

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【1】「士農工商」という言葉は古代中国からあり、「四民」とも言われ、「老若男女」同様、「色々な職業・立場の様々な人民みんな」という意味である。

【2】一方、我々の習った教科書では、「江戸時代には、士農工商の身分制度があったが、明治政府が四民平等の改革をして、近代日本になった」と教えられてきた。
・・・明治政府が徳川時代・江戸時代の身分制度を改革したのは事実だが、その際に「士農工商を排し四民平等」という言い方をしたので、徳川の頃の身分制度=「士・農・工・商の四層身分構造」という印象となって、教科書でもそう書かれてきた。

【3】最近の研究の結果:
・徳川時代・江戸時代の身分差別制度は、①「士」(武士)、②平民(大半が農で、あと工や商)、③被差別賤民、の3層構造であったことが分かってきている。
・よって「士農工商」という古代中国の表現をそのまま江戸時代に当てはめて「士農工商」というと、4層(その下の 被差別賤民を入れて5層)であったかの誤解あるので、教科書から「士農工商」という誤解を生む表現を削除したのである。

【4】しかし、それを機に「江戸時代の日本に、そもそも身分差別がなかった」(日本は世界でも素晴らしい!!)とそれを意図的に曲解する、日本の歴史美化勢力が現れて、ネットでそういうことを吹聴するから、一般市民の間にも、そういう誤解が広がっている。
 ※一部では、下の絵のように、「士農工商の4層差別」ではなく、「平民:農工商の間には差別はなかった」などと解説するものもあるが、武士と平民、平民と被差別賤民の間の差別は厳然とあったのである。 
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・・・以上が現状であろう。

・・・日本は、江戸時代には3層差別構造だった、それを明治維新で改革した、というのが適切な歴史認識であろう。  Nat