★日経朝刊トップに、米欧の投資ファンドが日本企業への巨額投資の資金を増やすとの報道。
・・・ 一部、不動産投資系、あるいはPIPES(上場株)もあろうが、大半は、未公開企業投資(Private Equity: PE)であろう。
◆まず日本のリターンが欧米より高いのに期待とあり、かつ、一部の例だが、実際のこれまでのファンドのリターンが欧米ファンドより高めの例に言及している。・・・まず、期待リターンが高いかも知れないのは、要は、日本企業の経営がひど過ぎて、実際の業績が本来の業績力に比して余りにも低い、つまり改善余力が大きいことの裏返しであるので、日本としては喜べない。しかし、それはそうなのだろう。
◆一方、日経が全く書いてないのがPEファンドを担う人材のことだ。
・・・人材と言っても、私が重視して言っているのは「経営改善人材」のことだ。私は20年前からそのことばかり言っている。
・・・PEファンドのリターンは;
①本質的には対象企業の収益力(EBITDA等)を3倍にも4倍にも向上することからもたらされる(べきなのだ)が、それに加えて
②いわゆるレバレッジ、つまり買収資金を、結局、対象企業に借金として抱えさせて返済させていくことでリターンを生む、そういう金融手法も併用することが多い。
・・・②の金融手法だけならは、今でも多くの投資ファンドに流れ込む金融系人材でも担える。
・・・しかし、①の収益改善は、コストカットとかで3倍、4倍には出来ない。経営戦略・事業ポートフォリオの見直しから、ブランディングのやり直し等を含めた、経営・事業そのものの集中的改革をしないといけないので、かなりの事業経験者が必要である。・・・しかし、日本では、まだまだそういう人材が企業を抜け出してPE業界に来ないのだ。・・・そこが、もともと人材流動性の高い欧米との大違いだ。
・・・そこで、勢い、日本ではどうなるか、というと:
①の経営改革: 金融人材のファンドスタッフ、実は経営など一回もしたことない若者とかが、外部コンサルにお金払って適当に作らせた ”経営改革計画" の絵を、対象企業に押し付けようとする。
②のレバレッジ: これは、そこそこの条件なら、高利貸しだから、銀行が貸してくれる。ファンドの金融人材にも纏められる。だから日本のPE投資の7割くらいはレバレッジ案件になる。
・・・レバレッジPE案件は、何とか返済が出来た場合は、皆さんが住宅ローンの返済終わったら、マンションのequity(所有権)
が100%皆さんのものになるように、返済後のequityが増加するので、リターンが出る。しかし、何件かに一件、失敗して、返済不能、破綻し、equityは全損になる。・・・今朝の日経に言及されている某米ファンドも日本で全損やっている。・・・時どきの全損で全体のリターンを薄めると、リターンは結構下がる。破綻案件が出ないことを祈って、それにtake chanceしているだけの投資になりがちなのだ。・・・しかも、対象企業は返済の重荷で疲弊し、ファンドが抜けた後、疲れ果てた企業が後に残るという例もある。
◆ 私のことは控えたいが、私は、20年近く、レバレッジに依存しないPE投資を行う小さなチームで、PE業界の片隅にいた。その観点から、日本のPE業界は、まだまだ金融人材によるレバレッジ依存型のPEでしかないように思っている。もっとも大分、コンサル経験若者とか、商社・メーカーのMBAの人とかがファンドに転職はしているが、はっきり言って経営経験は限定的だ。と思う。
・・・欧米の資金がどんどん流入するであろう日本のPE。そこに経営改善人材問題という大きなボトルネックがあることを、日経は知らない。  Nat



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