★先週土曜の日経報道で、自民党内で、いつもの財政健全化派と、積極財政派が、今年も基礎収支(PB)黒字化目標の是非を巡って衝突したとの報道あり、そして、今日には、政府としての本年度24年度の経済基本方針案が報道された。
・・・22年度、23年度は色々あったからPR黒字目標を出せなかったが、今回は財政健全派が優勢だったようで、「25年度PB黒字化を目指す」との目標を掲げることになったらしい。政治と献金問題で、財政積極派の多い安倍派が実質壊滅していることが響いているのだろう。
◆ 私は何度も書いてきた。
・・・今、日本の残高、ざっくり1000兆円、PBが赤字だと、これが増え続けるが、国債残高が何兆円までなら大丈夫なのか? 何兆円に近づくまでは、PB赤字は全然問題ないのか??? という議論、この議論は、政治家も官僚も絶対正面から取り組まないのだ。
・・・昨年3月に私は以下の拙文で、その問題に正面から取り組んで書いた。拙文
・・・恐らく、あと数百兆円増えても問題ないのではないか?ということを私は書いたのだが、「国債残高限度論」--これを定量的に議論する人は絶対皆無なのだ。私の知る限り、私だけではないか。
【1】これの答えが出てしまうと、何がまずいのか?
① あと数百兆円増やせるなら、財務省や自民財政健全派の言うPB黒字化論は全くの無意味になってしまう。その最大限度までは、PB赤字でも積極財政すればいいという安倍さんみたいな話が主流になる。財務省は終了する。
② そして、積極派の政治家が、「あと数百兆円」を使いまくろうと群がってきてバラマキ、収拾つかなくなる。
・・・だから、これに答えを出そうとしてはいけないのだ。
【2】そして、”幸い”にも、この答えを出すには不確定性や、他の更に決定の難しい事項が絡み、簡単に答えが出せないのだ。
① 国民の余剰金融資産は今毎年200兆円とかのペースで増え続けているが、中長期では、この予測が難しい。
② これから金利が上がると、市中銀行からの日銀当座預金でファイナンスしている日銀の国債買いは、その一定部分を、日銀券追加発行でリファイナンスしないといけないが、そこで出て来るMMT的議論の論争が難しい。
・・・ということで、頭のいい学者さんたちを駆り出しても、キレイに答えは出にくい。また、そもそも、学者さんたちも、健全派、積極派のどちらかの看板でお金をもらっている人が多いので、この問題は永遠にあいまいが好ましく、「究極の答え」は出したくないのだ。
・・・だから、大げさではなく、この問題の答えをまともに議論している人は、世の中で私だけでないかというのは、あながちおかしくない気もする。
◆ だからだね、「なぜPBは黒字でなきゃイカンのか?」「もしかしたら、程よいPB赤字をいつも保つのがベストではないのか?」という問いに、最も大きなインパクトのある設問:「日本の国債残高はあとXX兆円膨らむと黄色信号になるのか??」ーーーこの設問に、敢えて誰も絶対正面から回答しない、それが多くの政治家・学者・官僚の安寧のためになっているのである。