★「物価に見合う賃金上げを」と、今日の国会討論で与党も野党も言う。
・・・これまでも何度も何度も書いてきたが、まるで分かってない政治家も多いが、もっと残念なのは多くの国民が、政治家同様、全く分かっていない認識でいることだ。
・・・政治家は言う:「企業に賃金上げするよう求める」「またそのための企業の付加価値アップのために、政府としても、半導体やAIなどの成長分野への資金後押しをする」と。
◆ 政府が半導体やAIに国費を回し、企業に「賃金・給与上げろよ!」と言えば、日本で30年続いたジリ貧経済が突然上向き、30年続いた賃金横ばい’(以下グラフ参照)が、突然上向くというのか???


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◆ 日本で賃金・給与が伸びない根本原因:
 (1)大企業は、特に円安恩恵組みはアベノミクス以来、増収・増益をしてきたが、社員への分配増はためらってずっと来た。なぜか? 将来への自信もない中で、ため込むだけで、分配増などする気もないし、更に言うと、分配増などしなくても首脳も中堅社員も会社をヤメないからだ。
・大企業の問題は、解雇規制問題で話題の「働かないオジサン」ではなく、「経営しているつもりの首脳」「仕事をしているつもりの中堅社員」にある。終身雇用・年功序列で、イノベーション経営は本気で誰もやらず、そこそこの現状維持経営・運営を、一番先輩のムラ人の首脳も、中堅社員も続けていて、専らの関心は、その企業ムラの中での「自分の次の昇進」だけというのが、多くの大企業の本質的実態である。
・しかも、首脳も中堅も大した付加価値を産んでいないうえに、折角築いてきたそのムラでの地位だから簡単にヤメたりしない。だから、首脳にも中堅にも大した報酬を払う必要はない。首脳も日本では多くてもウン千万円払っておけばよく、米欧のようなウン億円で一騎当千のリーダーを招聘するようなことは誰もしない。That’sJapanだ。
・それを打破するには、企業ムラ経営を打破する施策、例えば、終身雇用・年功序列卒業指数などの企業評価基準の創設で、それを東証などの評価基準に入れさせるとか、指数に応じた税制incentiveを出すなど、施策はあり得るはずだ。しかし、誰もそう言うことは言わない。ただただ「賃上げの掛け声」だけだ。
(2) 中小企業は、業界内にただただ差別性のない似たような企業が超過多で、超過当な価格競争に明け暮れているだけだから、従業員に分配する余裕はない。
・それに対しては、私は業界内M&A促進の諸施策を提案してきたが、進まない。
◆ 日本の産業・企業が30年間陥ってしまっている、上記のような根深い構造問題の改革施策に取り組まないと、日本はもっと沈没するし、国民の収入、特に可処分所得のジリ貧は更にひどくなり、国民は更に疲弊する。・・・この点、本当にわかっている政治家は少ないし、一部分かっている政治家も、今から「構造改革」を唱えても次期選挙にプラスにならないので、そういうことは言わない、言えない。・・・だから、私が一所懸命言うのだが、結構、虚しい。  Nat