★今朝の日経新聞に、VWなどの欧州の自動車メーカーの苦境の記事が載っている。(コピー添付。)
◆ 私は10月24日に、ちょっと大げさだが、人類史的な観点から、人類のEV(電気自動車)を巡る悲劇、アイロニーについて書いた。
・・・要は:
・所が、人為的CO2が地球温暖化の原因であるとして、脱炭素を政治運動化した欧州勢が、そもそも「元もと無理のあるEV」への転換を強制しようとした。
・自然な経済原理ではEVは無理なものだから、各国、政府が巨額補助金で無理やりEVを市場投入してきた。政府補助金競争になると、当然、勝利者は巨大な自国市場も擁し、国家資本主義運営をしている中国だ。
・その結果、今や、欧米日は、安価な中国EV、しかもこれからは政府補助金が減っても圧倒的競争力の中国EVに全く敵わない状況に追い詰められている。特に欧州は、自分の政治運動の結果、産み出した「中国の安価EV」というバケモノに脅かされているのだ。何というアイロニー。
・・・これが10月24日の拙文の趣旨。
◆ ということで、自らが始めたシナリオで自らが滅びつつある欧州である。
・・・・更に、今日の日経にも書いてあるが、欧州の苦境はもっと複雑な要因だ。
(1)最大の要因は、上述のとおり、脱炭素で自ら産み出したバケモノ、「無理やり市場投入したEVなるバケモノ」が、思いもよらず中国で進化し、もはや止められず、それが自らに襲い掛かっていることではある。
(2)しかし、日経に書いている通り、一時、欧州の政治的なEVシフト政策にも拘らず、炭素減をデイーゼルでやろうとしたメーカーの選択が、少なくとも結果的には時間稼ぎ的でしかなかった上、それに、焦って排ガス不正まで起こした自滅が重なる。
◆ それで、既に抑えられないバケモノ化して世界で増殖中の中国のEVだが、圧倒的にコストが安いのは、以下のような構造的理由だろう。
・・・EVのコストはとりもなおさず蓄電池のコストだ。なぜ中国のが安いか?
(1)当初は圧倒的な中国政府の補助金と育成政策。次に中国の自国市場の巨大さ。これで、今や併せて世界シェア6割の中国CATLとBYDなどが産まれた。・・・2nmなどの超精密最先端半導体では中国はまだ自国技術を持たない。しかし、蓄電池はいわば100年前からの技術だ。中国メーカーが充分世界一になれる分野なのだ。その分野で中国をのさばらせたら、敵わないのだ。
(2)しかも、中国は、電池の材料になるリチウム、コバルトなどの資源ないしはサプライチェーンを押さえてしまっている。
(3) 最後にだが、まだまだ中国の労賃のほうが安いし、環境規制も緩い。
・・・これから、中国EVのコスト競争力は更に増すだろう。
・斯くして、欧州は自分が創り出してしまったバケモノに苦しめられ続けるだろう。
・日本も中国EVの脅威の影響は受けるが、少なくとも自国市場はHV、あるいはPHVなどが当分主流で展開され、欧州よりは被害が軽いと思われる。・・・圧倒的負けは欧州勢だ。 Nat
<10月24日の拙文>拙文