★国民民主党の「所得税控除の基本額を103万円から上げる」策が、今や自公とのdealの中心テーマになり、評論家諸氏があれこれ書いている。download
・・・特に「103万円の壁」なるものは実質ないのに、という点を書いている人が多いが、言っては悪いが、その辺は、私が既に選挙直後の10月29日に書いてたことだ。以下の3連続、拙文をご参照。
・そして、今や、負け惜しみの立憲民主が「実は本当に問題なのは130万円の社会保険料の壁」とか言い、評論家もそれを指摘してみている人が結構いる。
◆しかし、大蔵省の秀才だった玉木氏のことだ。その辺は、103万円の件を、選挙の政策のトップに掲げ「手取りを増やす!!」と叫び、あれだけの比例区の票を集めた、その作戦を練る時に、全てお見通しで計算したものであろう。・・・私もお陰で、玉木氏の作戦にたぶらかされた面がある。

【1】103万円の「壁」との表現にした:
・前に書いた通り、実際に「103万円の壁」があるのは、今では配偶者控除は年収150万円以内との条件に改訂されているから、今や若い扶養家族がいるケースだけだ。だから、私は最初、なぜ玉木氏が「103万円の壁」といい、報道機関もそういうのかと思った。それで先ずそれを書いたのだ。
・しかし、私もあとで分かったのだが、「xx円の壁」表現は、確かに今では一番大きな壁は立憲民主が言っているとおり「130万円の社保の壁」なのだが、一般市民では、今も尚103円にも壁があると信じている人が多いらしい。
・それを知っている玉木氏だ。「壁を壊す」という表現の方が受けることも知っていた。それで、敢えて、本当は103万円控除を178万円などに上げる策なのだが、「壁」を壊すと言うことにした。
・それでいて実際には控除額の55万円ほどの上方改訂だから、高収入の人では、それに高い目の税率をかけたものが減税になって結構おいしい。つまり、103万円程度の収入の人から高額者まで皆が減税になるテーブルをわざわざ見せ、高額者までの支持を得る、それで、103万円レベルの低収入の人の多くは「壁」と思っているから「壁を壊す」表現で支持を得る。幅広い市民を味方につけた見事な作戦だ。

【2】130万円の社保の壁突破は、今回は敢えてメイン政策にしない:
・玉木氏がこちらは、今回のメイン政策にしてないのは、理由があるのだろう。
・130万円の壁は、年収が130万円を越えてしまい配偶者などの社会保険でカバーされるのから外れ、自分で社会保険料を負担するのが始まってしまう、つまり、そこから突然大きく手取りが減る、そういう本当の“不連続”的な「壁」だ。
・しかしこの問題の改善は、基本は勤労夫婦を巡る社会保険制度そのものの抜本的構造改革することになり、大ごとだ。それなしで「対症療法」する場合は、壁を越えてしまい保険料負担が増える人の保険料をチャラにするような給付金を支給することになる。立憲民主はそういう給付を提案していた。しかし、玉木103万円突破案は、単に控除額の金額数字を変えるだけで済む。一方、130万円の方は、それを越えた人の社会保険料のそれぞれ(健保、介護、年金)の金額を出して、それの合計をチャラにする給付金を振り込むことになり、実務が桁違いに大変だ。
・・・それは私ですら分かっていたから、130万円突破を主張する立憲民主は非現実と思っていたが、玉木氏が、短期的に一発実現の出来ない130万円突破案を提案する訳がない。
・・・今ごろ、立憲が負け惜しみで「本当は130万円の壁こそが・・・」などと言っているが、玉木国民民主がそれを言わなかった理由をよく考えるがいい。立憲は、理念だけで政策を考えるからそうなる。
◆ かくかように、玉木国民民主の103万円突破提案は、そのシンプル実現性、幅広市民へのアピールの意味で良く考えられていると思う。
・・・あとは、178万円までの改訂でなく、もう少し低めにするとか、高額所得者は除外とか、その辺の微修正と、更に財源論議だ。  Nat