★COP29(第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が10日程の日程を終え、22日に閉会した。
◆ 報道では、今回の焦点は、途上国の脱炭素運動と気候変動災害からの復興への、先進国による支援の資金額の問題であったようだ。・・・最終的には、年間、1千億ドル程度という先進国側と、1兆ドルを叫ぶ途上国側の妥協で3千億ドルで手打ちはしたが、途上国代表のインド関係者などが「全く不足」という等、双方に大不満が残ったようだ。46824145
・・・その他には、炭素クレジットのUNベースでの標準認定が進展したとかあり、それも疑問だが、それよりも、焦点は圧倒的に途上国の経済発展権利と脱炭素の両立問題という、ここ2-3年、焦点になってきていたことがいよいよ燃え上がったことだろう。
・・・そもそも先進国は人為CO2の大半を放出し、G20 では世界の75~80%の放出になる。そこで、途上国は「先進国はさんざん放出しておいて、これから途上国が経済発展しようとすると、もう放出増加はさせないのはズルい」という不満があり、「先進国は、途上国の省エネ、再エネ、脱炭素(あと、地球気候変動の災害復旧)にカネを出せ!、でないと、炭素削減なんかしないぞ!」という話である。
◆ ここまでは一見分かったような気もする人がいるだろうが、今回の「3千億ドルの合意」は色々問題ありと思う。
【1】「途上国の支援」のための資金を、2035年までに、年間3千億ドルに引き上げることが決まっただけで、最大の問題は、金額が少ないか以前の問題として、拠出する「先進国」の範囲が未定であることだ!!
・・・先にG20の炭酸ガスは世界の75%とか書いたが、G20 には中国もインドもロシアも入っている。最大放出国の中国だけで世界の3割放出している。米国14%、インド7%、ロシア5%である。・・・一方G7という欧米日に限ると世界の25%にしかならない。
・・・3千億ドルは、インドが出せ出せと主張したので、インドは出す側ではなく「もらう側」のつもりだろう。中国こそは、インドほど「出せ出せ」とも「くれくれ」とも言っていないようだが、実質「出す」先進国側には入らないつもりだろう。
・・・そして、トランプの米国、世界の第二位14%の放出国が、恐らくトランプになると一銭も出さない可能性がある。
・・・欧州も、環境官僚の勢いが弱まっており、米中が入らないと、恐らく「それなら、アホラシ」で、拠出しないことになる可能性もある。
⇒ 結局、「出す国」も「もらう国」も、どこかを決めてない、この合意は見せかけの「合意」に過ぎないだろう。たぶん、何時まで経っても、拠出は実現せず、途上国も石炭火力などを進めていくことになるのではないか。・・・だから、人為CO2抑制は進まないだろうから、先日書いた通り人類として「温暖化適合策」も重視する必要があるのだ。(その上、結局、人為CO2が主因でなかったを判明した時も、温暖化は止まらないからね。)
【2】もう一つの最大のアイロニーは、お金は中国に回ることだ。
3千億ドルの資金は途上国に向かうが、もしも使途のガバナンスがしっかり効いて、脱炭素に振り向けられ、政治家などのポケットや、一般の経済投資に流用されないで済んだとすると、今度は、それらの多くは、太陽光・風力発電のプロジェクトに振り向けられる。
・・・そのお金は、結局誰に回るのか? 世界の太陽光発電と風力発電の機器市場を寡占、いや独占しつつある中国のメーカーと、そこに資金を出している北京共産党政権のポケットに、お金が回るのだ。・・・世界のその市場の寡占ぶりは以下のチャート参照。・・・つまり、欧米日の巨額資金は中国を潤すのだ。再エネルギー 中国シェア_page-0001
・・・だから、このCOP29資金で買う太陽・風力機器は、価格が高くても欧州・日本製に限定ということにしないとそうなる。しかし、限定では、途上国にも不満が残り、COPの主要メンバー国の中国が、それでは役得がないので、反対に回るだろう。
◆斯く斯様に、COP29の途上国支援3千億ドルの「合意」は絵にかいた餅でもあり、中国を利するのみで、実現性は低いと見ざるを得ないだろう。脱炭素は進まない。  Nat

















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