★今朝の日経新聞報道で、世界の濃縮ウラン製造トップのロシア(ロスアトム社)が、米国との対立から、対米供給への制限を始めたとある。
・・・世界が、AIなどでの電力需要の急増と脱炭素の両立のために、大なり小なり見直しつつある原発だが、ロシアからの供給懸念問題があり得るわけだ。
◆ 以下の暫らく前の毎日新聞の円グラフで、世界の濃縮ウランの製造の半分近くをロシアのロスアトム一社が握っているのが分かるだろう。二位のウレンコは米国の工場。
(1)そして、米国が、一部(日経報道では20%以上とある)にしろ、よりにもよってロシアから濃縮ウランを輸入する体制になっているのには経緯があるようだ: ソ連崩壊以降、核軍縮となり、ソ連に貯まりに貯まっていた核兵器用の濃縮ウランを米国が戦略的に輸入することで減らしていく動き(「メガトンからメガワット」計画(1993-2013年))で始まった体制が、今でも継続されているという。・・・勿論、日経記事の通り、既に、米国ではロシアからの輸入依存を減らすようにしているが、濃縮設備の新設には時間がかかる。
(2)そして、日本にも、これは影響する。
・・・日本の自国濃縮能力は、以下のチャートの「その他」になっているくらいで僅かであり、多くを輸入。輸入元の大きい部分は、ロスアトムからである。(あとは、チャートにある米・欧州。)
・・・ロシアが日本にも制限してくる可能性はある。
◆ 但し、核燃備蓄は、昔の原発フル稼働時代でも2~3年分はあったので、ロシアからの供給が細ってもすぐには問題ないが、長期的な経済安保上、やはり問題であろう。・・・欧米も濃縮capaを向上していくだろうが、日本も早く原発政策を固め、本腰で、濃縮capaも向上させていかないといけない。もちろん核拡散の問題などもあるが、経済安保の重要施策とすべきであろう。
◆このように、原発の燃料である濃縮ウランの供給リスクのことに言及すると、安っぽい再エネ派は(「美しい太陽と風」派)、「だから自国産である太陽と風で」と言いそうだ。確かに、ロシアに日本の太陽光と風は止められない。しかしお天気次第、また、夜には太陽は照らないのだ。・・・ェネルギーはやはり分散が基本だ。CO2を殆ど出さない安定エネルギーの原発を、ロシアリスクを越えて、日本のベースに据えるべきことは変わらない。 Nat


nikkei.com_核燃468457312_8794213623991130_4236924652458512147_n