★夫婦の選択的別姓問題で、世界の中で日本だけが夫婦同姓義務付けている、との議論があるが、その点につき、以下の留保意見を書いておきたい。images
◆「夫婦同姓の義務付けしているのは日本だけ」と言うのは、表面的事実としてはその通りである。
・・・しかし、中国・韓国は、実態ではもっと妻・女性蔑視的で、「妻は旧姓しか名乗れない」体系を維持しているのだ。だから、世界の中の日本を論じる時は、その辺を踏まえておくほうがいいと思う。
・・・中国も韓国は妻は旧姓のまま。だから、夫婦同姓ではないのはそうだ。しかし、中国、韓国で妻が旧姓なのは、妻は結婚しても夫の血縁には属さない、つまり妻には夫の家の血筋が入っていない、だから、夫の血縁の家族にはなれないが、夫との関係では妻にはなるという位置づけである。その意味では、女性・妻の蔑視の面が強いと思う。(なお、中国、韓国でも、子どもは基本的に父の姓になる。)
・・・日本でも明治以前は、日本も中国・韓国同様の思想で、妻は夫の姓になれなかった。しかし、明治政府は、西洋の模倣で、妻も夫の姓を名乗る夫の「家」の一員になるように夫婦同姓にした。しかし、これは、西洋の形式のマネをしただけ。根っこでは中国・韓国同様、「妻は夫系の家の従属的な一員と見做される」という思想は変わっていなかった。そこで戦後、これまた米国の思想を少し入れ、発想として「結婚を両姓の合意に基づくもの」した。しかし、今では、それが妻の姓の自由度を奪っていると、選択制別姓論が出ているものである。
・・・・一方、中国・韓国では、夫婦の選択的別姓論は出ない。なぜなら、法令により、今でも妻は元の姓のままだからだ。日本と、中国・韓国と、世界の中で、どちらがより「標準を外れているのか?」、難しいところだろう。
・・・いずれにせよ、世界の中で、日本だけが問題かというとそうではないだろう。上記の通り、中国・韓国は、ある意味、日本よりももっと妻・女性蔑視的とも言えよう。だから、日本の選択的別姓問題は、日本だけが世界標準に遅れをとっているという議論ではなく、一つには西洋の価値観と東洋の価値観の違いという観点からも考えることが必要であるような気がする。だからといって自民党保守派の応援はしないが。  Nat