★マイナカード保険証問題 ― 所感
・・・私は前から、日本は、少なくともマイナカード健康保険証はそれで始めてしまったのならば、もうそれはそれで、何とかモノにしていこうとして、試行錯誤、各論の問題改善を、政府と関係機関と国民にしてもらうしかない。と割り切っており、それ以上の評論は雑音にしかならないので、黙ってきていた。
◆ しかし、そもそも論に戻ると、当初から私が言っていることはこうだ: 
1) 国民のデジタルID方式を、まず税管理システムから始めた「マイナンバーシステム」(カードではなくシステム)、これは、漸く始まった、日本社会のデジタル化の出発点であり、大変結構。
2)一方、それを出発点に、医療・健康保険、年金、金融機関口座、運転免許などの他の行政システムのそれぞれのデジタル化を進めると共に、それを最初から横展開、つまり、横でデータ交換、データ統合する前提で構築する、これにより、社会・行政全体がデジタル一元管理できるようになる。・・・これは気持ち悪いと思う人も多いが、人類がそちらに向かうのは不可逆な流れであろう。
◆ そして、日本で、そのような「デジタル一元管理社会」を構築するにあたり、システムデザインはこうあるべき、というので、私が最初から主張していた体系は以下だ:download
<1> 基本の個人IDシステム: 日本ではこれを税制に絡めて、税ナンバーをマイナンバー(IDナンバー)にしたが、そもそもは戸籍管理IDシステムが基本だ。国籍・戸籍・住所までのIDデータで個々の国民に紐付けし、番号化する。これを全ての行政や金融サービスのユーザーIDの基本にする。・・・・日本は、それを税IDであるマイナンバーシステムで実現した。そこまではいい。
<2>そのIDを元にして、医療・社会保険、運転免許、金融機関の諸システムをデジタル化で構築し、それを元のIDシステムとデータ連携するのだ。そうすると、戸籍やら住所変更してIDの基本データが更新されても、社会保険、免許などに自動的に展開されていく。また、税や社会保険などの計算、金融機関での支払い・引き落とし、等の「横展開」が、全てデジタル一元化展開される。・・・マイナンバーシステムの横展開もこれをイメージしている。ここまでもいいだろう。
<3> 次に税、医療など諸システムにユーザーが接する時の個人認証方式。これがないと、個人情報は保護されないし、他人に悪用されてしまう。だから、個人認証の仕組みは鍵中の鍵である。
・・・韓国などは、前にも書いたが、日本のようにプラのカードなどという物体(「ハード」)方式ではなく、IDコード、指紋認証などの組み合わせの「ソフト」方式で展開している。
・・・しかし、日本は、デジタルに弱い国民ということで、皆が馴れているATMのキャッシカード方式なら、日本人にもできるでしょう、になった。だから、マイナンバーカードというプラのカード(ICチップ付き)を作り、国民に持たせ、ATM類似の4桁暗誦番号入力方式にした。要は、①ICチップのついたカードを持っていることで多分本人だろう、②しかも暗誦番号を知っていることで、いよいよ本人、という本人確認方式である。
・・・しかし、現実のマイナカードについては、私は最初から唖然としているのだ。クレジットカードでも、最近は、面上には殆ど何も記載されてない、ICチップだけに近いカードも多い。所が、マイナカードはだね、名前、住所、生年月日、マイナ番号、写真 との個人認識情報「5点セット」が、もう露骨に表示されている。カードを拾った人でも、あとは4桁の暗誦番号さえ分かれば、あとは成りすましは容易である。何と愚かなカードであろうか。
⇒ 私は、個人認証用に、もし「ハード」の物体を噛ませるとしても、それは、何も書いていないICチップのカード(あるいは今後はスマホの内部に取り込む認証データー)がいいと思っている、それを国民に持たせる。そして、あとは、本当は、韓国みたいに、パスコード、指紋など別の生体認証などの選択的組み合わせ方式で守るのがいいと思っていた。しかし、現実のマイナカ―ドは、個人情報5点セットが印刷されている愚かなものになった。(今後、次の段階のマイナカードやスマホ化で、改善していくのだろうが。)
<4> そして、本題だが、IDの基本形とID認証の基本方式が一つあれば、あとは税、医療・健保、免許などの個々のシステムで、便宜的な別のユーザーカードがあってもいいのだ。
・・・ つまり、今回のように、健保証をマイナカードとは別のカードにしておきたい人が多いなら、それはそれでいい。全く本質に関係ない。それはそうでも良かったのだ。免許証も一元化がイヤなら別のカードでもいい。・・・但し、分野別のカードを発行する際に、根っこのID確認をきちんとしている限りである。
・・・ 要は、通常は便宜的ユーザーカードで便宜的認証するのでも、まあいいだろう。
いざとなったら、根っこの一元化されたID認証方式が最後の砦になるのであれば、あとは応用問題でもいいということだ。
◆ 今回は、政府のマイナカード普及への思惑で、健保証をマイナカードに一元化する方式、本質的にはそうでなくてもいい方式にしちゃったから、揉めに揉めている。やり出したからしょうがないが。運転免許証もマイナカードに一元化するのか、は、今後、良く考えた方がいい。・・・個々の体系がデジタル化していること、それらが根っこのID系でデータ的に横展開していること、それが根本。それさえされていれば、便宜的なカード類は別べつでも何でもいいのだ。・・・便宜的ユーザーカードなら、一枚くらい落としても何とかなる。根っこのID認証チップとかスマホ内IDデータがあれば、そこから何とかなる。
・・・・以上が私の所感である。  Nat