★今朝の日経新聞がトヨタがROEを、今の11%くらいから20%に高める計画との報道をしている。
・・・それで、またぞろ日経は「株主重視」「資本効率重視の経営」とか、書いている。
もっと、本質的な経営評論をするのでないと日本経済新聞との社名が泣くと思うが、もう東証やら証券会社など ”株屋さん” 同様のノリになっている。日本株屋新聞だ。
・・・勿論、従来の日本は、経営というと、その企業ムラのためであり、株主重視、資本効率重視の、米国的な発想は弱かったから、少しは、そういうものを、というのなら分かる。
・・・しかし、今の日本では逆になって「株主重視」、「資本効率重視」ばかりが論じられるが、その大半は株屋さんの発想からであることが多いのだ。
◆ 日経によるとトヨタの幹部は『ROEについて「世界で勝つためには20%くらいを安定的に出さないといけないのではないかという話をしている。小さなアセット(資産)から大きな売り上げを生み出す」と話す。』とある。
・・・しかし、私に言わせると:
イ)ROEが高いと「世界で勝つ」のではなく、世界で勝つ経営をした結果、ROEが高まることもあり得る、というのが本来だ。
ロ)「小さなアセットから大きな売り上げを」というのも、確かに、従来の製造業の発想「増産のために新工場を建設しアセットを大きくしていくことで売り上げも伸びる」という事業モデルではなくなってきている。自動車はCASE (connected, autonomous, shared&services, electric)になると言われている通り、その為の研究開発投資が大きく、製造工場という製造資産の意義は半分になってきているのはその通りだ。つまりアセットと売り上げの関係の意味論が変わっては来ている。しかし、それがROE20 %発想に短絡する訳ではない。
◆財務指標でトヨタの問題を述べるなら、問題はROEではない。圧倒的に、PERが11倍くらいしかないことだ。日本の大企業の平均が今15倍くらいなのに対して、トヨタは11倍台。
・・・要は、既にトヨタはありとあらゆることをして「儲け」を最大化している企業であり、これ以上、儲けがドンドン増えることはない、と目されているということなのだ。
・・・そして、自動車業界そのものが、EV化の大きな潮流の中で、今こそEVはやや足踏み状態、トヨタは全方位商品政策が少し評価されてはいるが、それでも「トヨタこそ世界の勝者」とまでは株式市場は見てないことを意味する。
・・・PERだが、米テスラは100倍を超えている。中国のEVの覇者BYDは一時100倍越えていたが、今は23倍くらいになってしまっている。しかし、トヨタは11倍でしかない。