★トランプ次期大統領は、日鉄などなしでも、更なる関税とUSSへの減税で、USSは自力で復活すると豪語している。 面白い、やってみなはれ。
◆ 現実には以下であろうと、私は思う:
・・・米国の鉄鋼市場は年間8千万トン。第一次トランプ政権以来の鉄鋼・アルミへの高関税(鉄鋼25%、アルミ10%)と関税割当制度により、中国鉄鋼製品の輸入は激減し、今では、カナダ6百万トン、ブラジル3百万トン、メキシコ3百万トン、韓国1百万トンに限られている。最近はベトナムのが増えているようだが。
・・・それを、第二次トランプ政権で更に高関税にし、割り当ても実質廃止すると、確かに更に国内の鉄鋼価格は急騰するだろう。・・・その結果、USSの収益は改善するだろうが、自動車価格への跳ね返りなどもあり、国内政治的に、この施策はかなり限界や無理があろう。
【2】日鉄からの資金を減税で代替できるか?
・・・日鉄は、少なくとも総額27億ドル(約3,000億円)の追加投資を計画していた。具体的には、ペンシルベニア州のMon Valley Worksに10億ドル以上、インディアナ州のGary Worksに3億ドルの投資だ。
・・・USSの法人税額は、ここ3年の平均で、年に3億ドル程度だから、減税だけでは、10年ほど毎年の税金をゼロにして、初めて日鉄の資金の代替が出来る程度である。
・・・代わりに米政府がUSSに資金注入するなら別だが。
【3】日鉄からの技術は?
・・・計画されていた提供技術は以下だ:
(1)水素還元: もはやコークスベースの高炉では、今後、地球温暖化問題上行き詰るので、水素還元などの新技術が必須と思われる。日鉄は開発済みのSuper COURSE50技術をUSSに提供する計画だった。
(2)それ以外にも自動車用高級薄板の超ハイテン鋼板生産技術、あるいは様々な環境対応諸技術をそれの遅れているUSSに提供予定であった。
・・・これらが、一切来ないUSSは、単なる米国のど田舎の老朽化した製鉄会社に過ぎない。
◆ ということで、追加関税と減税だけで、復活するUSSとは、とても思えない。トランプは、日鉄なしのUSS、やって見るがいい。 ・・・私は、日鉄には、2兆円も出してのUSS買収はやめておいたら、、と言っているのだが、トランプに「日鉄なんか要らない」と言われると、一応、「やってみたら」と言っておきたいものだ。
Nat
