★一昨日、いまアジア・日本を襲っている異常寒波・大雪について、それも「地球温暖化の一環」という説もあることを書いた。
・・・温暖化なのに、寒波・大雪という一見矛盾することの説明は概ね以下だ:
1)北極の温暖化で氷が解け、極に封じ込められている空気(Polar vortex)に変化が生じて偏西風の蛇行を変え、日本などにシベリア寒気を吹き込む
2)それが日本海を通る際に、温暖化の海水温上昇で日本海の水蒸気が増えていたのが、日本で大雪になる
・・・というものだ。(一昨日の拙文:拙文
◆ 今日はもう少し踏み込もう。
【1】上記1)2)の理由:
 ・・・その前に添付のグラフで、まず左のグラフ、世界の平均海水温が100年で0.5度ほど上がってきていること、そして、右のグラフ(注:「気温偏差」;過去気温の平均からの差)で、北極では更にその3~4倍早く気温が上昇していることを確認しよう。
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1)北極の温度上昇:
・南極は大陸の上に分厚い氷があり、北極ほど気温の変化はないが、北極は、海の上に薄い氷が浮かぶ構造にて、北極は過敏なのだ。よって南極はほとんど変化ないが、北極は急変中であるのは事実だ。
・そして、そもそも北極の氷が溶けるのは、北極の気温上昇もあるが、ベーリング海峡からの海流の変化に起因するとも言われる。そのベーリング海峡からの海流変化はエルニーニョも含めた諸要因によるようで、その一つに関連地域の温暖化による氷の減少もあるようだ。
・そして、一旦北極の氷が溶けだすと、太陽光の反射(いわゆるアルベド)が減り、地域の気温の上昇にpositive feedback(悪循環)が発生することもある。
⇒ 以上から、いわゆる人為CO2による地球温暖化は、北極の気温上昇の諸原因の一つではあるが、他にも様々な要因が重なるのだ。
2)日本海の温度上昇:
・南半球は海洋が多く、北半球は大陸が多い。大陸は海洋より熱容量が小さく、温暖化はまず北半球のほうが大きめになる。
・その中でも日本海は他より多少とも高めである。熱の高まり易い陸に囲まれていることと、議論はあるが黒潮の北偏の影響もある。
⇒ これまた、人為CO2 による温暖化だけを原因にするのは間違いとなる。
【2】なぜ今年?
・・・昨年と今年で、人為CO2による地球温暖化はもう測定誤差以下であろう。つまり、今年に入って、CO2が一気に増えて、平均気温が大きく上がったなどということはない。
・・・そもそも平均温度の上昇は気温で100年で0.7度、海水温で0.5度だから、一年の変化は実質ゼロである。
・・・然るになぜ、今年の冬に記録的大雪なのか?
・北極やシベリアの大気で、何か、去年と違うことが起こっている? 日本海の海流の状況で、何か去年と違うことが起こっている? 日本海の海水温は一年前よりやや高めのようだが、その主因はCO2というよりも、風が弱いからだともある。

・平均気温・海水温が実質去年と同じであるなら、今年の記録的大雪は、別の何等かの主因があるはずである。

・・・・しかし、現在の気象科学は、それを地球気象・海洋状況の「揺らぎ」としか言えないのだ。
・・・しかし、もし「揺らぎ」なら救いがある。「揺らぎ」が、来年はもう大雪でなくなる方向に変わるかも知れないからだ。
・・・一方、人為CO2主張派はみじめだ。脱炭素がなかなか進まないのだから、今年のCO2レベルで、こんだけ大雪になったのなら、来年も再来年も同じCO2レベルだから、同じ大雪が続く理屈になる。希望がない。もう北国には居住放棄勧告でもすることになる。人為CO2しか語らない人は、自分が何を言っているか分かっていない人たちだ。
◆ だから、気温で言って100年で0.7度上がってきた「地球温暖化」は、現在の異常気象の一つの要因ではあるが、異常気象全体の構造は、もっと大きな地球・海洋・太陽のサイクルや揺らぎや変化なのである。そして、人類はまだそれを精緻なモデル化が出来ていない。だからそれを「揺らぎ」という。いい言葉だ。 Nat