★今朝の日経新聞に、また、低濃縮ウランを巡る米ロが互いに輸出入禁止し合うことから、米国のウラン燃料供給不安が高まっていることが載っている。(記事コピー添付。)
◆この点に関しては、私の昨年11月27日の記事(以下リンク)でも、米国だけでなく、日本自身の原発の増強のために、懸念点であることを書いた。拙文
・・・世界の低濃縮ウラン燃料供給体制は、米ソ冷戦終了後、ソ連・ロシアの濃縮ウランをソ連・ロシアに蓄積させないため、米国が吸い取ってしまう体制となり、今でも世界西側圏への低濃縮ウランの供給はロシアのロスアトムが支配しているのである。
・・・今や、米ロの対立の時代に戻り、このようなロシア依存体制の急速な是正が必要だ。しかし、ウラン濃縮設備は、高度技術を要するため設計・開発段階から稼働開始までに時間を要し、また、当該国の原子力関係の規制・審査のクリア、核不拡散のための国際的基準のクリアも必要。・・・米国にしろ、日本にしろ、自国の濃縮能力の増強には数年もかかると言われる。
・・・そして、最大のウラン鉱石産出国のカザフスタンにはロシア・中国の影響が強く、鉱石も輸出向け先は中国の濃縮工場が多い。鉱石の根っこ、濃縮の両面で、ロシア・中国の力が強い。
◆ ところが、日本では、漸く原発の再稼働くらいは、、、との機運であり、新増設については、国民民主党など提唱する政党も出てきているが、政治家にもまだためらいがあるのが現状だ。
・・・然るところ、折角、原発を増強しても、燃料が不足するなら意味ない。
・ただし、日本単独での濃縮能力の増強よりも、当面は、米仏の増強に乗っかることだろうが、次の段階での国産能力の増強に向けても、手を打たないと間に合わない。
・・・経産省の政策資料(添付)では、漸く昨年から、そういうことへの取り組みが着手されたばかりだ。・・・政治家がことの重要性を認識し、もっと注力する必要がある。
・・・これまで、私は、ウラン燃料は供給不安がそれほどないとの前提で、日本では使用済み核燃の再処理はもう諦め、使用済み核燃は直接投棄、そして、再処理からのプル核燃が溜まらないようにしたらいいと主張してきた。しかし、ロシアのウラン供給停止問題で、その辺も変わってくる可能性がある。